今や、定番となっている結婚式終盤の「花嫁の手紙」。
「必ず読まなければいけないもの」という認識を持っている方もいるのではないでしょうか?
実は、ウェディングプランナーとして進行のお打ち合わせをしていると「花嫁の手紙を読みたくないんです……」と言われることも多くあります。
それほど「手紙を読まないこと」が、ハードルの高いものになっているということの証なのでしょう。
手紙を読まずに感謝の気持ちを伝えたい!
そんなプレ花嫁さまへ、フリーランスのウェディングプランナーが「手紙を読まなくても感謝が伝わる結婚式」を伝授します。
目次
どうして当たり前に?花嫁の手紙が定番化したある理由とは
かたくなに「読みたくない!」と言う前に、まずはなぜ、花嫁の手紙が定番となっているのかについて考えてみましょう。
花嫁の手紙はそんなに歴史のあるものなの?
友達に「読むのが親への礼儀だよ」って言われたけど、そんなに重要なものなの?
そんな疑問にお答えします。
お母さんは読まなかった
花嫁の手紙がある結婚式。
なんとなく伝統的で、格式高い印象があるかもしれませんが、その歴史は人々が思っているよりも深くはありません。
実際に、プレ花嫁さまのお母さん世代は、おそらく読んでいる人の方が少ないはずです。
私の両親は、昭和58年に結婚式を挙げていますが、その際も読んでいないと言っています。
そう、歴史があると思われている花嫁の手紙は、お母さん世代にはなかった演出なのです。
メッセージは録音、もしくは代読
そこから時代が進み、世は平成の時代に。
平成7年に出版された『結婚披露宴 花嫁から両親への手紙』(横田京子著/ナツメ社)で、初めて花嫁の手紙についてのマニュアルが記述されます。
しかしここでも、「新郎新婦が両親に向かってゆっくり進む間に朗読されます。新婦自身が前もって吹き込んだテープを流すこともあれば、友人などに依頼して読んでもらうこともあります」との記述。
花嫁の手紙は、あくまでも花束を贈呈する際に、新郎新婦が歩いている「無言の時間」を解消するためのもの。
という位置づけのようにも捉えられます。
この頃は、ブライダルというビジネスが成熟しつつある時代。
「より多くの演出を、時間の無駄なくこなす」ことが重視されていました。
録音や代読がマニュアルとして記述されていることには、このような背景もあるのかもしれませんね。
2000年、花嫁の手紙もミレニアムイヤーに
1990年代まではそれほど一般的ではなかった花嫁の手紙。
具体的に「いつ、どの結婚式場で初めて行われたか」ということまでは確認できていませんが、私の経験では2000年以降の結婚式においては、おおむね花嫁の手紙が読まれており、定番化している印象があります。
これは主観ではありますが、これほどまでに爆発的に広がり、定番化した背景には「友達親子」という親子の関係性が影響していると感じています。
時代の流れに伴い、親子関係に変化が訪れたことで、花嫁の手紙という演出が結婚式にぴったりとハマったということなのかもしれません。
そして今、求められる「感謝の気持ちを伝える方法」とは
このように歴史を紐解いていくと、花嫁の手紙にはトレンド的な要素があること、現代の花嫁さまが「読みたくない」と考えたとしても決して不思議ではないことがわかりますね。
特に近年の結婚式は「ゲスト目線」「ゲストへの感謝」というキーワードが並ぶようになり「新郎新婦および家族は招待する側である」ことを強く認識しているカップルが増えてきています。
それでは、花嫁の手紙に代わって感謝を伝える方法とは、どのようなものがあるのでしょうか?
融合とタイミングで、最高の演出に♡
ここまで見てくると「現代の結婚式で感謝の気持ちを伝えるのって、かなり難しいのでは?」と思うかもしれませんね。
ですが、それほど難しく考える必要はありません。
ちょっとしたポイントをつかむだけで、手紙を読まずとも素敵なラストシーンになりますよ。
メモリアルムービーを上映する
アナログに代わるものはデジタル。
手紙に代わるものはムービー。
それでは花嫁の手紙の代わりはムービーで!
その考え方も間違いではないと思いますが、メモリアルムービーの力を存分に発揮してもらうためにも、もう少し踏み込んで考えてみましょう。
ムービーの特徴は、
- 映像と音楽を一緒に流すことができる(視覚と聴覚に同時に訴えられる)
- 手書きの文字をデジタル化し、エンドロールのように流すことができる(映画のような臨場感が出せる)
- 複数の内容を組み合わせて制作できる(プロフィールと手紙を融合させられる)
などですよね。
この特徴をうまく利用すると、ムービーの感動を何倍にも増幅させることができます。
たとえば
- 今後の生活に向けての決意を表現できる曲を使用する
- 主賓・友人・親族・家族、それぞれへ短い感謝の手紙を考え、該当する人たちの映像とともに手紙を流す
- 画面を二分割して、半分で生い立ちの写真を流し、半分で手紙をエンドロールのように流す
など、アイデアは無限大です。
これまで「プロフィール」「手紙」「エンドロール」という単品を並べていたところを「融合させる」イメージで考えていくと、作りやすいですよ。
流すタイミングは、親御様へプレゼントを渡す前です。
プロフィールムービーをプレゼントの前に
前述の方法は少しハードルが高すぎる……
そう、ムービーの構成を考えるのには、それなりの労力も必要です。
そんな時におすすめなのが、プロフィールムービーを花束贈呈の前に流すこと。
中座中に流すケースが多いプロフィールムービーですが、これを花束贈呈の前にとっておくだけで、手紙と同様、もしくはそれ以上の効果を生むことができます。
というのも、披露宴には流れがあります。
花束贈呈の前、新郎新婦は何をする予定でしょうか?
キャンドルサービス? フォトサービス? 歓談?
いずれにしても、ゲストは「おふたりの今」を楽しんでいます。
「感謝の気持ち」は、どちらかと言えば、過去の時間軸です。
ゲストの時間軸を現在から過去へ巻き戻すためには、幼い頃からの生い立ちを収めたプロフィールムービーは強い効力を発揮します。
その後に親御様へプレゼントを渡す場合、プロフィールムービーはとてもいい序章になります。
ここまで、ムービーをおすすめしてきましたが、その上映数は「多い方がいい」というわけではありません。
オープニングムービー・プロフィールムービー・余興のムービー・メモリアルムービー・エンドロールのすべてを上映することがゲスト目線かと言えばそうではないからです。
あまりにも多いムービーは、会場内の暗転の回数増加となり、ゲストの目を疲れさせます。
また、上映時間が長いことで食事の時間が制限されたり、「何かが流れていることが当たり前」になって、よく見てもらえない可能性も。
先に記述した内容を融合させることは「ムービー多すぎ!」のクレームを防ぐことにもつながります。
プロにすべてをお任せ
結婚式にはプロのMCという最大の味方がいます。
MCはいわば、言葉の魔術師。
「感謝の気持ちを進行の中でうまく代弁してほしい」と申し出れば「どんなエピソードがありますか?」「尊敬しているのはどんなところ?」など、さまざまな質問の回答から最高の文言を考えてくれます。
プレゼントを持って両親のもとへと進む時、親子ともどもその言葉を聞けるのは、この方法ならではのメリット。
直接言うのはどうしても難しいという花嫁さまにもおすすめの方法です。
どうしても避けたい「お涙頂戴」。スタイリッシュなラストシーンとは?
「手紙を読みたくない」という理由は、人によってさまざまです。
声が震えるから、きっと泣いて読めなくなるから
という人もいれば、
「お涙頂戴的な雰囲気そのものがイヤ」という人もいるでしょう。
最後にそんなプレ花嫁さまへ、スタイリッシュかつ感動できるラストシーンの一例をご紹介します。
人前で「お父さん お母さん」は言いたくない、大人の花嫁さまにおすすめです。
- ゲストと家族へ向けたメッセージ入りのムービーを上映
- 新郎新婦からの挨拶
- ふたりでお互いの家族席へ向かい、親御様へプレゼント
- そのまま退場
一見、あっさりしているように思えるかもしれませんが、ゲストに対する感謝も伝えることができ、おふたりでそれぞれの親御様へプレゼントを渡すことができます。
もちろん、お涙頂戴の雰囲気になることもありません。
家庭事情やご自身の年齢、ゲストの心情、どんな問題もクリアできるラストシーンです。
結婚式に正解はない。おふたりらしい伝え方を♡
花嫁の手紙で両親に感謝の気持ちを伝える
このこと自体はとてもすばらしいことです。
ですが、それが強制や義務になってしまったら、本来の意味が損なわれてしまいます。
自分たちには手紙の朗読は合わないと感じるのなら、他の方法でおふたりらしく感謝の気持ちを伝えることを考えればいいのです。
ゲストのみなさんも、その気持ちはしっかりと感じ取ってくれるでしょう。
私がウェディングプランナーとして言えることは「結婚式に正解はない」ということです。
だからこそ十人十色の感謝の伝え方があっていいと感じています。
固定概念にとらわれず、自由な発想でおふたりらしく感謝の気持ちを伝えましょう♡
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